医療費控除で出産費用を取り戻す — 対象になるもの・ならないもの

この記事の目次
  1. 出産にかかったお金、戻ってくるかも
  2. 医療費控除とは
  3. 出産費用で医療費控除の対象になるもの
  4. 出産育児一時金との関係
  5. 確定申告の手順
  6. セルフメディケーション税制との選択
  7. 医療費の記録をつけておこう
  8. まとめ

出産にかかったお金、戻ってくるかも

妊娠・出産にはさまざまな費用がかかります。妊婦健診、分娩費用、入院費…。でも、医療費控除を使えば、支払った税金の一部が還付される可能性があります。

「確定申告って難しそう」と思うかもしれませんが、出産した年はぜひチェックしてみてください。

医療費控除とは

1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税の一部が還付される制度です。

基本の計算式

医療費控除額 = 支払った医療費 − 保険等で補てんされた金額 − 10万円

(総所得が200万円未満の場合は「10万円」の代わりに「総所得の5%」)

控除の上限は200万円です。

ポイント

  • 本人だけでなく、生計を一にする家族の医療費も合算できます
  • 出産育児一時金で補てんされた金額は差し引きます
  • 還付される金額は、控除額×所得税率(5〜45%)で決まります

出産費用で医療費控除の対象になるもの

対象になる費用

  • 妊婦健診の自己負担分 — 補助券を使った後の差額
  • 分娩費用 — 正常分娩、帝王切開ともに対象
  • 入院費用 — 入院中の食事代を含む
  • 通院のための交通費 — 電車・バス代(公共交通機関に限る)
  • 薬局で購入した薬代 — 医師の処方に基づくもの
  • 不妊治療の費用 — 体外受精なども対象
  • 産後の母乳外来等 — 医療機関での診察費用
  • 異常分娩に伴う処置費用 — 帝王切開、吸引分娩等
  • 入院中のベッド代 — 治療上の必要で個室に入った場合

対象にならない費用

  • 差額ベッド代 — 自己都合で個室を選んだ場合
  • マタニティ用品の購入費 — マタニティウェア、腹帯等
  • 里帰り出産の帰省交通費 — 実家への移動費は対象外
  • 自家用車のガソリン代・駐車場代 — 通院にかかったものでも対象外
  • 予防接種 — インフルエンザ等の任意接種
  • 赤ちゃん用品の購入費 — おむつ、ベビー服等
  • 入院中の身の回り品 — パジャマのレンタル代等

判断に迷うもの

  • タクシー代 — 原則対象外。ただし、陣痛時や緊急時など公共交通機関が使えない事情がある場合は認められることがあります
  • 無痛分娩の追加費用 — 医療行為としての麻酔費用は対象になるケースが多いですが、施設の請求書の内訳を確認しましょう

出産育児一時金との関係

出産育児一時金(原則50万円)を受け取った場合、その金額は医療費から差し引きます。

例:

  • 分娩・入院費用:60万円
  • 出産育児一時金:50万円
  • 妊婦健診の自己負担:5万円
  • 通院交通費:2万円

→ 医療費の合計:67万円 → 補てん金額:50万円(一時金は分娩費用からのみ差し引く) → 67万円 − 50万円 − 10万円 = 7万円が控除額

所得税率10%の場合、約7,000円が還付されます。さらに住民税も軽減されるため、合計の節税額はこれより大きくなります。

確定申告の手順

必要なもの

  • 医療費の領収書(原本の提出は不要だが5年間の保管が必要)
  • 医療費控除の明細書(国税庁のサイトからダウンロード可能)
  • 源泉徴収票
  • マイナンバーカードまたは通知カード
  • 還付先の銀行口座情報

手順

  1. 1年分の医療費を集計する — 領収書を整理し、交通費もメモしておく
  2. 医療費控除の明細書を作成する — 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が便利
  3. 確定申告書を作成・提出する — e-Tax(オンライン)または税務署に提出
  4. 還付金が振り込まれる — 通常1〜2ヶ月後

申告期間

出産費用の医療費控除は還付申告なので、翌年の1月1日から5年間いつでも申告できます。確定申告期間(2月16日〜3月15日)に限りません。

セルフメディケーション税制との選択

セルフメディケーション税制は、市販薬の購入費が年間12,000円を超えた場合に控除を受けられる制度です。

**ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。**どちらか一方を選ぶ必要があります。

出産があった年は医療費が高額になるため、通常の医療費控除のほうが有利なケースがほとんどです。

医療費の記録をつけておこう

確定申告をスムーズに行うために、妊娠がわかった時点から医療費の領収書を保管する習慣をつけておきましょう。

  • 領収書は封筒やファイルにまとめて保管
  • 交通費はメモ帳やスマートフォンに記録
  • 健康保険組合から届く「医療費のお知らせ」も活用できます

まとめ

出産費用の医療費控除は、手続きの手間はかかりますが、やって損はない制度です。特に帝王切開や不妊治療などで費用が高額になった方は、還付額も大きくなります。

「面倒そう」と思っても、国税庁のオンラインツールを使えば意外と簡単にできます。出産した年はぜひチャレンジしてみてください。

妊婦健診の費用を抑える妊婦健診の助成の仕組みもあわせて確認しておくと、より計画的にお金の管理ができます。


この記事は2026年3月時点の税制に基づいています。税制は改正される場合がありますので、最新情報は国税庁のサイトや税務署にご確認ください。

参考資料: