産後の抜け毛がひどい — いつまで続く?原因と対策を助産師が解説

この記事の目次
  1. シャンプーのたびにごっそり…不安ですよね
  2. なぜ産後に抜け毛が増えるの?
  3. いつから始まって、いつまで続く?
  4. 自分でできるケア
  5. こんなときは受診を
  6. 周りの方へ — 何気ないひと言に気をつけて
  7. まとめ

シャンプーのたびにごっそり…不安ですよね

産後、シャンプーをすると排水口に大量の髪がたまったり、枕に抜け毛がついていたり。「こんなに抜けて大丈夫?」と心配になりますよね。

でも安心してください。産後の抜け毛はとても一般的な現象で、多くのママが経験しています。そして、ほとんどの場合、自然に回復します。

なぜ産後に抜け毛が増えるの?

ホルモンの急激な変化が原因

一番の原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少です。

妊娠中はエストロゲンの分泌量が増え、このホルモンには髪の毛の成長を維持する作用があります。そのため、妊娠中は本来抜けるはずだった髪も抜けずに維持され、「髪が増えた」「髪質がよくなった」と感じる方もいます。

ところが、出産後にエストロゲンが急激に減少すると、妊娠中に抜けなかった分の髪が一気に抜け始めるのです。これを「分娩後脱毛症」といいます。

その他の要因

ホルモンの変化に加えて、以下の要因も重なることがあります。

  • 睡眠不足 — 夜間の授乳で十分な睡眠がとれない
  • 栄養不足 — 授乳で栄養を消費しているうえに、自分の食事がおろそかになりがち
  • ストレス — 育児の疲れや環境の変化によるストレス

いつから始まって、いつまで続く?

時期の目安

  • 始まり:産後2〜3ヶ月頃から気になりだす方が多い
  • ピーク:産後3〜6ヶ月頃
  • 回復:産後6ヶ月〜1年頃に徐々に落ち着いてくる

個人差はありますが、産後1年頃にはほとんどの方が回復しています。抜けた部分からは新しい髪が生えてきますので、一時的に短い毛(アホ毛)が目立つ時期がありますが、これは回復のサインです。

自分でできるケア

完全に防ぐことは難しいですが、以下のケアで症状を和らげることができます。

栄養バランスを意識する

髪の毛はたんぱく質でできています。以下の栄養素を意識して摂りましょう。

  • たんぱく質 — 肉、魚、卵、大豆製品
  • 鉄分 — ほうれん草、小松菜、赤身肉、レバー
  • 亜鉛 — 牡蠣、牛肉、ナッツ類
  • ビタミンB群 — 豚肉、バナナ、玄米

育児中は自分の食事がおろそかになりがちですが、簡単に食べられるものでOK。ゆで卵や納豆、バナナなど、手軽に摂れるもので十分です。

できるだけ睡眠を確保する

夜間授乳があって難しいとは思いますが、赤ちゃんが寝ているときに一緒に横になる、パートナーや家族に頼って休む時間を確保するなど、できる範囲で睡眠を優先しましょう。

頭皮にやさしいヘアケア

  • シャンプーは頭皮を指の腹でやさしく洗う(爪を立てない)
  • 低刺激のシャンプーを選ぶ
  • ドライヤーの熱を当てすぎない
  • 無理にブラッシングしない

ヘアスタイルの工夫

抜け毛が気になる時期は、以下の工夫で見た目の印象を変えることもできます。

  • 分け目を変えてみる
  • 前髪を作って生え際をカバーする
  • ヘアバンドやターバンを活用する
  • 短めのスタイルにすると、ボリューム感が出やすい

こんなときは受診を

産後の抜け毛は通常1年以内に回復しますが、以下の場合は医療機関(皮膚科や婦人科)に相談してみてください。

  • 産後1年を過ぎても回復の兆しがない
  • 円形に脱毛している部分がある(円形脱毛症の可能性)
  • 抜け毛以外に体調の変化がある(疲れやすい、むくみがひどい、寒がりになった等)→ 甲状腺機能の問題の可能性

特に甲状腺の異常は産後に発症しやすく、症状が似ていて見逃されることがあります。気になる症状がある場合は早めに相談しましょう。

周りの方へ — 何気ないひと言に気をつけて

産後の抜け毛は、見た目の変化を伴うため、本人が思っている以上に精神的な負担になることがあります。

「すごい抜けてるね」「ハゲてきたんじゃない?」といった言葉は、たとえ悪気がなくても傷つきます。もしパートナーや家族として気づいたら、「大変だよね」「何か手伝えることある?」と声をかけてあげてください。

まとめ

産後の抜け毛は、ホルモンの変化による一時的な現象です。ほとんどの場合、産後1年頃までに自然に回復します。

「いつまで続くんだろう」と不安になりますが、必ず終わりが来ます。無理のない範囲で栄養と睡眠を意識しながら、この時期を乗り越えていきましょう。

産後の体の回復全般については産褥期の過ごし方もあわせてご覧ください。